父。

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父。

父は、福岡県北九州市若松の出身。
母は、沖縄県宜野湾市普天間出身。
ふたりは、大学生のころ東京で出会い結婚。
お互い別々の大学のコーラス部に所属していたのがきっかけだった。

結婚したふたりは、母の故郷である普天間で本屋を営んだ。
そして、ふたりの次男として1964年、ボクは普天間で生まれた。

当時は、県外の人に対する差別がかなりあった。
こども心に「オヤジは大変そうだ」と感じていた。
ボク自身、姓が「幸田」ということで「ナイチャー」といわれ
それがもとで、何度も喧嘩した。
自分のアイデンティティ探しは、その当時から始まっていた。

そんなボクを見て、オヤジは「何でもいいから一番になれ」と言った。
「自分自身に自信を持つことができれば、そんな言葉なんて気にならなくなる」
おそらく、そういうことだったのだろう。

父の教育方針は、明快だった。
小学校までは沖縄でおおらかに育て、中学生からは本土で育てるという計画だった。
「井の中の蛙になるな!! 男は大きなフィールドで!!」
まるで、星一徹のようだ(笑)。

父は本屋をたたみ、ボクら家族より一足先に県外へ旅立った。
「いきなり東京は大変だろうから、まずは埼玉!!」
ということで、父が生活の場を準備した埼玉県へ移住した。

「一からスタートするのは、大変だと思うが、頑張ればできる」
と不安でいっぱいのボクらを父は励まし続けた。

しかしその半年後、父は不慮の事故で他界してしまった。
享年42歳だった。

父のお墓は、福岡にあった。
十三回忌で墓前で掌を合わせたとき
思わず涙が溢れ出た。
悲しいとか、懐かしいという感情ではなかった。
音楽を生活の糧にするため、当時のボクは苦しみもがいていた。
「なんでもいいから一番になれ」「頑張ればできる」
そんな叱咤激励が聞こえてきたような気がした。

ボクにとって父は偉大だ。
そして、その影響は計り知れない。

音楽を目指したのも、出版の仕事にすすんだのも
大きなフィールドを目指すのも、頑張ることも
父が導いてくれているような気がする。

ボクは今、45歳。
とうに父の年齢は超えた。
でも、超えることはできない。

「頑張ればできる」
その言葉に励まされながら、
ベストを尽くす一日」を積み重ねて行こう。

お父さん、ありがとう。
そして、父亡きあとボクを育ててくれた
お母さんありがとう。
父。

2009年6月21日 父の日に


タグ :沖縄コラム

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この記事へのコメント
幸田さん、はじめまして!
私は3年前まで主人の転勤で那覇に5年住んでいました。
幸田さんのご活躍はよく知っていますよ。
今は浜松にいます。

昨日は『父の日』でしたね。
幸田さんのお父様への思い、深く感じました。
私の両親は80歳で健在です。大切にしようと思います。

貴重な写真ありがとうございました。
Posted by RURU at 2009年06月22日 10:50
→RURUさま。浜松でご覧いただいているなんて感激です。ご両親ご健在ってすばらしいですね。本当に感謝しても感謝しつくせないほど感謝ですよね。わたしも自身の母を大切に大切にし、思いを伝えて行きたいと思います。こちらこそ、ステキなこめんとありがとうございました。
Posted by CodaCoda at 2009年06月23日 21:22
codaさんはじめまして。私は本土出身です。沖縄の大学に通うことがきっかけで12年前沖縄に来ました。私もナイチャーだからねぇと言う言葉に何度か傷つきケンカもしました。社会人となった今もカチンとくることが何度もあります。codaさんのお父さんの言葉に感激しました。私も何でもいいから一番になれるようになりたいです。まずはたくさん沖縄に関する本を読んで地元の人よりも地域に詳しい人になります!
Posted by ひまわり at 2009年06月23日 22:13
→ひまわりさま。すいません、朝書いたコメントは自分自身納得がいかないのでもう一度コメントさせていただきます。
父も喜んでいると思います。
私自身はひまわりさんのコメントに感激です。
人は心の中に無意識にフェンスを作ってしまいます。
今現在は深い意識で「ナイチャー」と言っているひとは少ないです。
でも、そう言われた方は、「ボクらとあんたは違う」
「ボクらは多数派」と感じてしまします。
だって「ナイチャー」ではなく、
しっかりと名前はあるし、故郷はありますもの。
言われた方はキツいですよね。
何より沖縄のことが好きであればあるほどそう感じると思います。
私自身がそうでしたから。
ウチナーンチュは、本来オープンハートでステキな人です。
あえて、もう一度いいます。
今は「ナイチャー」という言葉を発した方の中に、
悪意を持って使っている人は少ないと思います。

人を差別することで自分自身のアイデンティティを感じたり
優越感を感じたりすることは、とてもナンセンスです。
そんな言葉に振り回されずに
「自分に自信を持ってしっかり生きろ」
父の教えはそういうことだったと思います。

無意識に差別してしまう、
「多数派で安心」的な精神で. そういう意図で
人を傷つけることはあってはなりません。

そして、それに対して気づいてもらうことは大切だと思います。

歴史的な側面でウチナーンチュが抱えている
複雑な思いは確かにあります。
今に生きている私たちはそれをふまえて、
心のフェンスをなくしていかなければなりません。

ボクも沖縄LOVElogで少しずつ発信していきます。
みんなでそういう世界が作れるように頑張っていきましょう!!

沖縄から愛を込めて。
Posted by CodaCoda at 2009年06月24日 23:09
★幸田さん★

文章を読むにつれて、涙が溢れました。。。
お父様を尊敬できる事が本当に素晴らしいです☆
どんなに、憎くおもっても親である事は変らない
・・・思春期にはぶつかる事も多々ありましたが
今は、大事に思えます♡

愛情を沢山注いでくれたから、
今の私がいると思います。

幸田さんのLIFEを少し覗かせてもらい、
考えさせられました☆

「ないちゃ〜」と今まで平気に言っていたし
実際偶然ですが、今日の会話で
「ないちゃ〜」は、本土の人からしたら
差別用語だよ?怒られるよ!
と、言われました。

認識は無かったので、納得いかなかったけど
やっぱり傷付けてしまう言葉ならば使いたくない
ですね。。。

気を付けて言葉を発したいと思います。

言葉には魂があるんですもんね☆
「言霊」大事にします♡


更新楽しみにしています!!!

エンターテーナー幸田様♡
応援してます!!!!
Posted by ma-mi at 2009年08月24日 23:05
→ma-miさま。心にぐっとくるコメントありがとうございます。
そうなんですよね、無意識に発した言葉が傷つけてしますことってあります。ボク自身も。でも、それを認識してからが大切だと思います。ジョニーさんの歌「キミがキミでいるために」に「けして誰かを傷つけないように」という歌詞があります。そうしたいです。
言葉には魂がやどります。
常にポジティブにがんばっていきましょうね。
これからも応援してください。
みなさんに気持ちよくご覧いただける
沖縄LOVElog目指してがんばります!!
Posted by CodaCoda at 2009年08月25日 21:36
幸田さま

はじめまして
図々しくもいつかお会いできるかな??と思い(笑)「素敵な記事だな~」と思ってもコメント避けていました
幸田さんのボキャブラリーの豊富さにも感心しておりました

お父様カッコイイ~
イイ写真ですね!!

私にも息子がいて息子の父親は東京出身(ナイチャー)です
今は私ひとりで育てています

この記事を読んでいて他にも共通することがあったので思わず心の赴くままにコメントしました

これからも御活躍下さい
応援しています。
Posted by Narumi☆CNarumi☆C at 2010年04月12日 10:14
→Narumi☆Cさま。
コメントありがとうございます。ボクもときどきブログは意見させていただいてます。きっとどこかで接点ができてお会いできるような気がしてます。父はかなりの哲学者でした。今はそれがとてもよかったと感謝しています。若いときは反発ばかりしていたボクなので、今になって存在の大きさに気がついたりします。その分感謝の気持ちを伝える事を忘れないようになりました。ステキなコメント感謝。今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by CodaCoda at 2010年04月15日 17:06
とても愛情溢れるお父様ですね。故郷を離れて沖縄へ。子供たちの未来を考えて埼玉へ。

なかなかできないことをやってのける行動力。今の幸田悟さんにとても似ている気がします。

私も名字は『鈴木』です。が、いくら質問されても気になりません。私は私だから(笑)でも心のフェンスには考えさせられました。

逆に大学時代は名古屋で『沖縄ちゃん』という目線で呼ばれたり会話が始まるのが嫌で仕方なかった。私自身をみてって強く思ったものです。

でも今ならわかる。ただの会話のきっかけにしか過ぎないのです。むしろ誇りに思う(笑)お父様の言葉の意図も奥深いです。

今や幸田悟さんがこうして人々の為に活動されて生き生きしている姿をご両親は誇りに思っていることでしょうね。

私にとっても家族について改めて考えさせられるコラムでした。幸田悟さん、いつもありがとうございます。

長々と失礼しましたm(__)m
Posted by カオリ at 2010年12月26日 00:01
→カオリさま。
ただの会話のきっかけという考え方、とてもいいですね。
渦中にいるとなかなかそういう処理の仕方が
できなかったりします。
自分サイズを広げて見ると、いろいろな見方ができますね、きっと。
ボクも自分サイズをどんどん大きくしていけるよう
マインドを磨いていきたいと思います。
ありがとうござました。
Posted by CodaCoda at 2010年12月26日 13:52
ここにコメントするのは初ですね

なんか、めちゃ感動しました。
私も2人の息子がいて、幸田さんと逆で
嫁が大阪人。

苗字が沖縄姓ですので、差別的なことはないです。

私達の頃に比べると、いわゆる『ないちゃ~』はブランディング化している様で、息子達は半分大阪人ってとこ誇りに思っている様でですし、友達からも慕われている様です。
時代と共に変化していくんですねぇ

なんか、久々に男前な文面を見て書きこんでしまいました。

では、又例の件でお会いしましょう!
Posted by plan-d at 2011年08月13日 15:31
→Plan-dさま。
コメントありがとうございます。年に何度か父を思い出すことがあります。自分のルーツに誇りをもち、良い生き方をする。それがベストかと。pdさんのところは、しっかりと教育なさっているし、スクスクとお子様が育っている様子、会話の端々から伝わってきます。肌の色、血、などで区別せず差別せず、手と手を取り合ってすばらしい島に、そしてすばらしい世の中になってほしいと心から思うのです。ほんとうにコメントありがとうございました。週明け例のプロジェクトのMTGを。良い旧盆を。
Posted by CodaCoda at 2011年08月13日 19:50
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